最上の贅沢

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最上の贅沢

豪華絢爛な食べ物を目の前にした時、人は思わず歓声を上げてしまうものです。
フルコースのフランス料理や、お座敷で提供される懐石料理など、世界にはジャンルを問わず高級といわれるメニューが数多く存在します。
パーティーなどの集まりで、そういった食事が振る舞われる場に参加したことのある人もいるでしょう。
大人になるにつれて、そうした場面に立ち会う機会も自ずと増えていくはずです。

しかしコースで出されるフランス料理を目の前にした時、マナーや手順に戸惑った経験のある人も多いのではないでしょうか。
たとえ自分の国の文化だとしても、本格的な懐石料理を前に、何をどうしていいのか分からなくなってしまう事もあるかもしれません。
そのような堅苦しい食事の席の後に、一人になった瞬間は思わずほっとしてしまうでしょう。
そうして家に帰った時、最初に口にしたい食べ物や飲み物は何でしょうか。
名前のわからない高いアルコールを出された後、お馴染みのコンビニのビールを口にした瞬間はいつもより美味しく感じられるかもしれません。
食べ方のマナーや手順が分からない高度な料理文化に触れた後、道端の屋台などで売っている焼き鳥やおでんを買って一口食べると、ようやく一息つけるのではないでしょうか。

美食家と呼ばれる人たちのように世界各国のあらゆる食文化に精通している人であれば、どんなマナーであろうとどういった堅苦しい席であろうと、さほど気にせずに堂々と食事をとれるでしょう。
しかし、なかなかその手の文化に馴染みのない人たちにとっては、格調高い料理を美味しいと思う前に緊張してしまい、味がよく分からないかもしれません。
そんな人にとっては、いつも食べている、普段親しんでいる料理こそ素直においしいと喜べるものなのです。

そのように普段から親しんでいる料理の代表格、人々に幸せなひと時をもたらしてくれる優しい食べ物、それは多くの人々が子供の頃に口にしたパンケーキでしょう。
現在はブームの人気スイーツとして少々パンケーキの雰囲気は変わりましたが、お洒落な見た目にアレンジされたパンケーキであっても、口にすれば思わず懐かしさがこみ上げてくるはずです。
気取ったパーティーに出席して緊張感から解放されないでいる時、もしも食後のデザートとしてパンケーキが出されたとすれば心持ちは変わってくるかもしれません。
パンケーキの魅力とは、その綺麗な見た目とは裏腹の素朴な味わいにあります。
昔からあるシンプルなパンケーキでさえどことなく気品を漂わせていますが、口にした瞬間のとろけるような優しい甘さは家庭の味、思い出の味そのものです。
気取らない食べ物こそ、人々にとっては一番の贅沢なのかもしれません。